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2020年6月号 新型コロナ情報(3)
新型コロナ情報(3) -医療崩壊の発生を防ぐため-
新型コロナ感染症の確定診断は意外に難しいのです。
理由は、発病に至らな い感染者が患者の 4 倍以上いることと、検査方法がまだ完全ではないこと の 2 点に尽きます。
慶応病院では全ての入院患者でコロナウイルスの保菌者を調べたところ 6%の人がPCR 陽性でした。
これが東京のコロナウイルス浸透率をある程 度反映しているとすれば一般病棟内での安全な検査・治療(胃カメラ、全身 麻酔、各種リハビリ、呼吸器の使用、精神科医の個室内治療、歯科診療など) は不可能ということになります。
三重県内の研究機関でもこのウイルスがどれくらい浸透しているかを 様々な方法で検討しています。
現在確実にわかっているのは、県内で多くの PCR 検査が実施されておりこの 3 週間以上 PCR 陰性が続いています。
全 国の陽性率が 3%であることを考えれば県外からの持ち込みがない限り現 時点で三重県内において COVID19 は完全に駆逐された状況といえます。
とりあえず一息をついたところで日本の研究者が取り組んでいる研究内 容及び対処法において 2 点説明します。
1.抗原と抗体の測定による診断について
- 抗原:文字通り病原ウイルス遺伝子の存在を証明する PCR 法が主に用いられていますが今ひとつ精度と利便性に欠けるため患者の状況、症状を考え併せての診断になります。
- 抗体:患者さんがいつごろ感染したか、病状はどの程度かなどが判断でき1と組み合わせると伝染力が高いか低いかの判断や隔離方法の具体 的な方針決定も可能なので現在 EIA 法、色素法を用いた検査キットによ る実験的な判定開始実用化を検討中です。
2.ワクチンについて
- 遺伝子組み換え法:COVID19 の遺伝子を人体に取り込まれやすい別のウイルスの外殻に入れ込む方法で短期に大量に生産す ることができます。
現在阪大微生物研究所、東大医科学研究所、 日本感染症研究所などで急遽試作中で 7 月から治験開始が予定 されています。 - 不活化ワクチン:COVID19 のウイルス粒子全体を破砕して無 害な状態にしたワクチンで現在中国などが研究中。
とにかく、抗ウイルス薬とワクチンの緊急の開発がなければ人類はこのウイルスを克服できません。
世界の研究者にエールを送りたいです。
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