てんかん外来について
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「てんかん」は脳の疾患の一種で、年齢性別に関わりなく起こり、発作を繰り返すことが知られています。
WHO(世界保健機関)の定義によれば、てんかんは脳の神経細胞に突如として現れる電気的な興奮によるものとされており、慢性疾患であることや、繰り返し発作が起こるものであること、ほかにも臨床症状が出ることなどが明記されています。
てんかんの発作が起こる場合、人によって症状は異なりますが、一人のお子様についてはほぼ同じ発作が起こることも知られています。脳内には通常も電流が流れますが、てんかんの発作時には棘波と呼ばれる異常な電気の波が起こることもわかっています。
「てんかん」という病名を聞いた時点で何となく心配になってしまう方も多いでしょうし、ましてそれがお子様のこととなるとより不安が増すと思います。当院にご相談いただければ適切な対処法をご説明いたしますので、まずは落ち着いてご来院ください。 -
小児てんかんの特徴
小児てんかんは、生下時から3才くらいまでの乳幼児期早期に現れることが多い疾患ですが、どの年齢でもみられます。先天性の疾患や周生期に起きた脳への損傷などに由来するものが多いです。
小児てんかんの約70%は、お薬で発作が起こらないようにしながら収束する時期を待ちます。ただし治療にはある程度の期間を要します。てんかん診療を熟知している医師のもとで治療を受けることと、ご家庭やお子様との連携が取れていることが欠かせません。また園や学校などの集団生活やお子様を取り巻く環境の中で、疾患への理解と心理的サポートがあることも大切な要素といえるでしょう。
当院の診断・検査
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てんかんの診断
てんかんの診断においては、初診時にまずしびれや麻痺がおこっているかどうかを確認します。とはいえ、多くの場合は、てんかんには発作が起きるとき以外には症状が見られません。そのため、原因となっている疾患の有無や、治療に対する副作用の有無を見極めることが重要です。
診断時には、どのような経緯でてんかんが出るようになったのかを見極めるために、発作の状況などを詳しくお尋ねします。さらに各種検査や病歴の確認なども行って、治療プランを立てていきます。 -
てんかんの検査
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血液検査
初診時にはまず健康状態の把握を行った後、抗てんかん薬による治療を開始します。この時に副作用として肝機能異常の有無などを確認しつつ、抗けいれん剤が有効な血液中濃度の範囲内に収まっているかを繰り返し確認しつつ、投薬量を決めていきます。
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脳波検査
脳波検査は、てんかん発作を起こす脳神経細胞の過剰な活動の有無を確認する目的で行います。安静覚醒時と寝入っていく脳波を確認し、負荷として光刺激や深呼吸を繰り返す刺激に対する脳波変化も観察します。
発作のない状態の脳波検査を行うことが多いので、突発波を認めないことがあります。また30分間程度の検査では確認できないこともあることをご承知ください。
治療を継続するなかで、脳波検査を繰り返して行い効果の判断・治療の終了や薬の変更を考えていきます。
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治療について
てんかんの治療には、ある程度の期間を必要とすることが一般的です。長期にわたって抗てんかん薬を服用し、神経の過剰な活動を抑える治療が必要ですが、それでも、てんかんの多くは治療できるということは知っておいてください。
また、1割程度の方は投薬のみでの治療では発作が治まらないこともありますが、その際は手術を行うことも可能です。
抗てんかん薬の処方には、てんかんの原因や年齢、発作の状態や合併症の有無などを踏まえた検討が必要です。