成長・小児内分泌外来

成長・小児内分泌外来に
ついて

「内分泌外来」では、お子様の成長を左右するホルモン分泌に関連する疾患を扱います。人間の体は個人の意思とはかかわりなく、さまざまなホルモンを分泌することで、内臓などの動きを正常に保っています。成長や発達の途中段階で内分泌疾患が起こった場合、その後の生活の質を大きく左右することもあるので、日頃からの注意が必要です。
内分泌疾患の要因となる部位はさまざまで、脳下垂体や甲状腺、副腎や副甲状腺などに障害がある場合に、代謝やホルモン分泌にトラブルが起こります。
なお、内分泌外来では身体の発育の流れを確認することが重要なので、母子手帳や学校での身体測定の結果などをご持参ください。

対象となる主な症状

  • 低身長(身長が低い)
  • 思春期早発(乳腺腫大・陰毛・性器出血)
  • 甲状腺が腫れている
  • 多飲、多尿(夜尿)
  • 肥満・メタボリックシンドローム
  • 学校検尿で尿糖陽性・糖尿病 など

代表的な病気

  • 成長ホルモン分泌不全性低身長症

    脳下垂体からの成長ホルモンの分泌に問題があると、身長が十分に伸びなくなることが予想されます。
    分泌の異常に至る原因は、脳に微小でもトラブルが起こった場合や、生まれながらの要因、または脳腫瘍などによる脳へのダメージが考えられます。
    成長ホルモンは補充可能なので、身長の伸び具合が不十分だと感じている方は、まずはご相談ください。

  • SGA性低身長症

    在胎週数が多いわりに身体が小さいという方も、多くの場合3歳くらいまでには周囲との差が無くなることが一般的ですが、身体が大きくなりにくい人もいます。この場合、生来の理由で成長ホルモンに関する問題があることが予想できますので、診断の上で成長ホルモンを投与する場合もあります。

  • 甲状腺疾患

    甲状腺機能亢進症

    甲状腺ホルモンは新陳代謝に関連しており、人間が生きる上で欠かすことができないものです。ただし、甲状腺ホルモンの分泌が多すぎると、新陳代謝が活発化しすぎて内臓に負担がかかるため、微熱や頻脈・汗をかきやすい・軟便などの症状が見られるようになります。
    甲状腺機能亢進症の代表例としてはバセドウ病が知られています。

  • 甲状腺機能低下症

    甲状腺ホルモンが不足していると、身長が十分に伸びませんし、発汗しにくい・便秘になりやすい・元気が出ないといった症状も現れます。
    甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの分泌状況は血液検査で確認可能です。

  • 思春期早発症

    「思春期」は女の子なら9歳くらいから、男の子は12歳くらいからの2~3年程度を指します。この時期には身長が伸びるだけでなく、生殖機能の発達が始まり、体型も子どもから次第に成人並みに変化し始めます。
    思春期早発症があると、早い時期に身長が伸びますが、大人になる頃には平均より身長が低いことが多いので、治療の対象となります。
    治療としては、思春期の進行を抑制して、平均的な身長を獲得できるようにします。早い段階での男性化や女性化を防ぐこともできるので、精神的な負担をやわらげるためにも有効です。思春期が早くなることが疾患に由来する場合(腫瘍がある場合などが予想されます)もありますが、その際は疾患の治療を優先します。

  • 染色体の病気(ターナー症候群やプラダー・ウィリー症候群など)

    ターナー症候群は女性に見られる体質的な問題で、思春期が訪れないことや、糖尿病、心臓病にかかりやすいといった合併症も見られます。
    原因としては、本来2本存在するはずのX染色体が1本しかない場合や、欠損がある場合などが上げられます。これらが明らかな場合は、保険適用で成長ホルモンや女性ホルモンを投与する治療が可能です。
    一方、プラダー・ウィリー症候群は、筋肉が十分に緊張できないことから哺乳しにくいなど乳児期から問題が生じます。幼児期には食欲亢進からの肥満や、その後低身長、性腺発育不十分な症状があり、成長ホルモンや性腺刺激ホルモンの治療対象となることがあります。

  • 骨や軟骨の病気(軟骨無形成症・軟骨低形成症)

    身長が伸びない、手足が短いといった場合は、骨や軟骨に疾患があることも考えられます。これらの疾患は遺伝的要因による場合もありますが、遺伝に関係なく特定のお子様だけに見られるケースもあります。
    軟骨低形成症よりは軟骨異栄養症の方が症例が多く、この疾患と診断した場合は成長ホルモンによる治療か、整形外科での骨延長術をおすすめします。

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