ぞうさんニュース

2018年2月号 インフルエンザやもやま話

インフルエンザやもやま話

有名な誰もが知っている風邪ウイルスですがこれほど誤解の多い病気もありません。

誤解1:

鳥インフルエンザは鳥の病気であって現在人に流行しているインフ ルエンザA、インフルエンザBは別のウイルスで鳥はかからない。

〈正解〉

全てのインフルエンザウイルス(A.B.C.D…)は宿主である鳥の腸内で 繁殖し、越冬する渡り鳥の排泄物から哺乳類にうつすけれど、全てのイン フルエンザが人にうつるわけではなく、特別な遺伝子変異が発生して人と か動物にもかかりやすくなった種類に限られます。

誤解2:

インフルエンザの診断はキット試験でしかできない。

〈正解〉

キット試験のみで確定診断はできません。キット試験の診断率は 95% 以下と考えて下さい。
本来は病巣部位からウイルスを検出すべきですが手 間暇がかかりすぎ日常の診察の役に立ちません。
最近は培養法にかわって LAMP 法と呼ばれるウイルス遺伝子を短時間で増幅させる方法が考えだされ、半日ほどでウイルスの存在を簡便に証明することが出来るようになりましたが、まだまだ一般的ではありません

誤解3:

インフルエンザにかかったら抗インフルエンザ薬で治療しないと治 らない、あるいは合併症を発症する。

〈正解〉

20年前までは現在使用されている抗インフルエンザ薬は地球上に存 在しませんでした。
すべてのインフルエンザ患者は自力で治すしかありま せんでした。
予防効果が低くてもワクチンを接種すること、手洗い、うが いをすることでかなり発症数を減らすことが出来ます。
又現在の薬はイン フルエンザウイルスが細胞内に入り込むのを防ぐだけでウイルスを殺す力 はなく、解熱しても鼻の奥にまだウイルスが生きています。治療の中止・ 治癒判断は医師の指示に従って下さい。

誤解4:

インフルエンザワクチンは子どもでも1回接種で十分効いて2回 打つ必要はない。

〈正解〉

厚労省は13歳未満の子供の2回接種をすすめ、最近は接種量を増 やしてもいますが、それでも予防効果を示す血中インフルエンザ抗体の 上りが不十分で、発症予防の力不足なのが現状です。

誤解5:

熱が下がったら病気は治っておりもう安心してよい。

〈正解〉

インフルエンザの発熱には二峰性の発熱もあります。
初回の発熱は 1日位で一度解熱し、半日くらいで2回目の高熱が始まります。
又順調 に治療が進んで完全に治癒しても免疫力が回復するのに約4週間かかります。
次の病気をもらいやすくなるし重症化しやすいのでしばらくは人込みを避けて手洗い、うがいを心がけましょう。

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