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2012年4月号 ポリオワクチンの話
ポリオワクチンの話 ~生ワクチン(弱毒化)と不活化ワクチン(死菌)~
第二次世界大戦後の日本では、年間 2000 人以上がポリオにかかり、その後遺症の手足の麻痺(小児麻痺)を残しました。
これを救ってくれたのが、 今のポリオ生ワクチンです。
当時ポリオ研究第一人者セービン博士がいたソ連が、人道支援として日本の子ども達に無償で提供。
同時に日本でのワクチン製造にも博士の協力をいただきました。
このワクチンは日本の子ども達の体質によく合い、安全にかつ絶大なる効果をもたらし、おかげでポリオ患者は激減し現在は日本での発生は消失しました。
今ではかえってまれにみられる副反応が目立 つようになりました。
それは、生ワクチンを飲んだ子どもの便の中に、野生に変化したポリオウイルスがあらわれることがあり、そこから家族がポリオにかかってしまうというものです。
これを心配した方々が、輸入不活化ワクチンを自費で受けるという騒ぎになりました。
この輸入ワクチンは、もともと免疫不全という特殊な病態 の子のために使用が不可欠であったものです。
当然輸入量が少なく、すぐ不足の状態なりました。
今、生ワクチンも不活化ワクチンも受けない子ど もたちが増加しています。
これだけグローバルな世の中になると、ポリオ流行地からいつ日本に持ち込まれるかを心配しなくはなりません。
国は現在大急ぎで不活化ワクチ ンへ切りかえる準備をしていますが、まだ十分量のワクチン製造に半年は かかるという予想です。では私たちはどうしたらよいか?
今行われているポリオワクチンを予定通り受けることをお勧めします。
慎重に投与する限り、効果、安全性ともこれほどすぐれたワクチンはあり ません。